出会い系を極める

そして恋人を作る

ネトゲ婚活とネカマ

  • 2011年10月26日 1:24 PM

大規模オンラインRPG「BLUESTONE」(略称BS)で毎日婚活に励む藤森泰彦(33歳喪男会社員)は、ゲームを通じて知り合った愛媛百合子(25歳OL)を本命としてキープしつつ、他に女はいないかなぁとナンパ相手を物色していた。
百合子は泰彦が所属しているギルド「玉垣部屋」の副ギルドマスターである。
ギルドマスターである「緋縅力弥」(26歳大学院生)の補佐を任されるだけあって、百合子は非常にしっかりした性格をしていた。
オフ会で何度か会ったが、嫌らしくない程度に女らしい雰囲気を持っており、大変交換が持てた。
そのため、泰彦は彼女を友ハンに誘いながらそれとなく距離を縮める努力を重ねていた。
正直言って、女性に気を引くために努力したのは、今まで生きてきた中で初めてかもしれない。
この日も、泰彦は百合子とゲーム内でペアハン(2人でPTを組んで狩ること)をしたところだった。
ゲーム内で百合子が「明日の朝は早いから」と落ちたため、泰彦は一人でソロ狩りをしていた。
そこへ一人の女死霊術師(死霊術師はBSでの職種の一つ)が「ヒコ(泰彦のBS内での名前)さん、こんばんは^^」とチャットで話しかけてきた。
彼女(?)はキャラクター名を「リリス」といい、玉垣部屋のギルド仲間の一人だ。
ゲーム内では女だが、リアル社会では泰彦と同じくアラサー喪男のしがない会社員である。
他のオンラインゲームと同じように、BS内でもこの種の「ネカマ」「ネナベ」は珍しくない。
そしてネカマ又はネナベであること自体に対して、ネトゲ社会は寛容であることがほとんどだ。
問題はそれが何らかのノーマナー行為に結びついている場合だ。
「リリスさん、こんばんは^^」
「ヒコさん、今暇ですか?ちょっと顔貸してくれます?」
「暇ですけど、どうしたんですか?」
「ちょっと面白いことをしようかなとww」
「面白いことって何ですか?」
「今から、ネカマでアホな男たちを釣りに行きますww」
「www」
「見に来ます?」
「行きますwww」
缶ビールを飲んでいたこともあって、泰彦はリリスの悪ふざけを見物することにした。
聞けばリリスはアイドルの写真を加工して、自分の書いているブログに貼り付けているのだという。
リリスが「JKと一緒に狩りしてみたい人募集^^」というアホ丸出しのパーティー募集欄を出すと、あっという間にたくさんの申込者が殺到した。
BSでは一つのパーティーに10人までという人数制限がある。
リリスは人数制限いっぱいまでパーティーを募ったところで、泰彦は睡魔に襲われたので落ちることにした。
後で聞けば、リリスはそのメンバーで徹夜でPT狩りをしていたそうだ。
ネカマがばれたという噂は、今のところ聞いていない。
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